その手をつかんで
おそるおそる咲里奈ちゃんを受け取ろうと触れたら……「ふえっ」と泣き出しそうな表情をした。
その途端、私は手を引っ込める。おとなしい子ならいいけど、泣く子を抱く自信はない。
「あら? わりと誰に抱かれても泣かないんだけど、眠いのかな? 明日花、ごめんね」
「ううん、気にしないで。寝ようとしているところを邪魔されたら、私も怒るもの」
「ふふっ、確かに」
瑠奈は微笑みながら、咲里奈ちゃんの様子を窺う。
すっかりママの顔になっていて、すごいなと改めて思う。
瑠奈と出会ったのは、大学だった。私は、栄養士の資格を得るために、栄養学科のある大学に進学した。
父親が製薬会社の社長である瑠奈は、小学校から大学まで行ける学校に通っていたが、周囲の反対を押しきって、受験したそうだ。
瑠奈の目的は就職ではなく、家族に栄養バランスの取れた料理を食べてもらいたいというもので、大学卒業した年の六月に瑠奈は友人の中でいち早く結婚をした。
その途端、私は手を引っ込める。おとなしい子ならいいけど、泣く子を抱く自信はない。
「あら? わりと誰に抱かれても泣かないんだけど、眠いのかな? 明日花、ごめんね」
「ううん、気にしないで。寝ようとしているところを邪魔されたら、私も怒るもの」
「ふふっ、確かに」
瑠奈は微笑みながら、咲里奈ちゃんの様子を窺う。
すっかりママの顔になっていて、すごいなと改めて思う。
瑠奈と出会ったのは、大学だった。私は、栄養士の資格を得るために、栄養学科のある大学に進学した。
父親が製薬会社の社長である瑠奈は、小学校から大学まで行ける学校に通っていたが、周囲の反対を押しきって、受験したそうだ。
瑠奈の目的は就職ではなく、家族に栄養バランスの取れた料理を食べてもらいたいというもので、大学卒業した年の六月に瑠奈は友人の中でいち早く結婚をした。