その手をつかんで
杉田くんが退室して、ドアがしっかり閉じられるを見届けてから、蓮斗さんは私の手を取った。


「そこに座って。杉田くんとは、もしかして知り合い? 同じくらいの年だよね?」


私は応接セットのソファに座りながら、答える。


「高校の時の同級生なんです。まさかここで会うとは思っていなくて、お互いビックリしました」


蓮斗さんは私の前に座ろうとしたのをやめて、隣に腰を下ろした。

なぜ隣に座ったのだろう?


「もしかして杉田くんを好きだった?」

「えっ? いえいえ、好きではなかったです。かっこいい人だから、モテていましたけどね」

「かっこいいとは思うんだ? 明日花のタイプではない?」

「一般的にかっこいいと思いますよ。私のタイプですか……んー、あまり外見にこだわりはないですね。でも、杉田くんは性格も良いですけどね」

「良い性格でも好きにならなかった?」

「ならなかったですね」


どうして好きにならなかったと言われたら、答えに困るけど、それほど話をしたことがないからなのかも。

よく話をしていれば、好きになっていたかな。断定はできないが。
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