その手をつかんで
婚約者(仮)
まさか、蓮斗さんの予感が当たるとは……。

前任者との引継ぎはあっさりしたもので、一時間半で終わった。前任者が帰ってからは、杉田くんとの打合せ。


「なにか質問ある? まずは来月のメニュー作りを頑張ってもらうけど」

「特にないかな。コンセプトはそのままでいいんだよね?」

「うん。ひとりで考案するの大変だよね? 迷ったら調理長に相談してみて」

「うん、わかった」


まずは、週替りメニューの考案。食材の注文や準備もあるから、一週間後には出さなければならない。

定食、丼、麺のメニューを4週分だから、全部で12のメニュー。

これを短い期間で考えるのは、大変だ。前の職場で考えていたメニューをいくつかアレンジしてみようかな。


「場所は、食堂の事務室を使ってもいいし、総務部内でもいいよ。空いている共有スペースならどこを使っても構わないからね」

「うん、ありがとう。知っている人がいると、心強いね。杉田くんがいてくれて、良かった」

「俺も野崎さんで良かったよ。知っている人だと話しやすいし、力にもなりやすい。たいした力にはならないだろうけど」

「ううん、そんなことないよ。ほんと頼りにしてるからね」
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