その手をつかんで
距離
毎朝専務室に行っていたのも終わりにさせてもらおう。
蓮斗さんへメッセージを送る。
『今後は専務室に行きません』
毎朝業務前に専務室に行き、蓮斗さんとコーヒーを飲むのが日課になりつつあった。
まだ一週間しか続けていなかったが、穏やかな朝だった。
蓮斗さんからすぐに返信が届く。
『できれば、来てもらいたい』
私は返さず、メッセージアプリを閉じた。もう蓮斗さんに関わらないと決めたのだ。
そう決めたのに……彼はなぜ毎日私の前に顔を出すのだろうか。
「野崎さーん、専務来ましたよー」
「え、また?」
社食でバイトしている女性に呼ばれて、私はのろのろ動く。
私が専務室に行かなくなったからなのか、蓮斗さんは社食に毎日通うという有様だ。
一応日替わりランチを食べに来ているのだけど、食べ終わると毎回私を呼ぶ。
食べた感想を伝えたいというのだけど、私としては顔を合わせたくない。
でも、専務に呼ばれたら行くしかない。コーヒーを淹れたカップをふたつ、手にして彼の前に座った。
専務命令で私にコーヒーを要求するとは、ずるい。
蓮斗さんへメッセージを送る。
『今後は専務室に行きません』
毎朝業務前に専務室に行き、蓮斗さんとコーヒーを飲むのが日課になりつつあった。
まだ一週間しか続けていなかったが、穏やかな朝だった。
蓮斗さんからすぐに返信が届く。
『できれば、来てもらいたい』
私は返さず、メッセージアプリを閉じた。もう蓮斗さんに関わらないと決めたのだ。
そう決めたのに……彼はなぜ毎日私の前に顔を出すのだろうか。
「野崎さーん、専務来ましたよー」
「え、また?」
社食でバイトしている女性に呼ばれて、私はのろのろ動く。
私が専務室に行かなくなったからなのか、蓮斗さんは社食に毎日通うという有様だ。
一応日替わりランチを食べに来ているのだけど、食べ終わると毎回私を呼ぶ。
食べた感想を伝えたいというのだけど、私としては顔を合わせたくない。
でも、専務に呼ばれたら行くしかない。コーヒーを淹れたカップをふたつ、手にして彼の前に座った。
専務命令で私にコーヒーを要求するとは、ずるい。