オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「折原くん、ありがとう。助かる」
普段裏方にいることが多い折原くんだが、今日に限っては店長に放り出されたのだろう。ナイス助っ人に感謝だ。
「じゃあ折原くん、そちらのお客さまの注文聞いてくれる?」
「あぁ、はい」
のんびりと答えると「伺います」と声をかけていた。
最初に彼がここに来たとき、それすら言えなくて、ただ立っているだけだったけど、最近は少しずつ接客もできるようになった。ちょっとずつ成長しているようで嬉しい。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか」
「一口まんじゅうを5箱」
「はい。かしこまりました」
てぱきと行列をさばいていく。おしゃべりな杉本さんもいつになく戦闘モードだ。
お昼を過ぎ、客足がひと段落したころで、杉本さんが「ちょっとあれ見て」と私の腕を小突いた。