オオカミ社長の求愛から逃げられません!
彼女の視線の先をたどれば、入り口から一際異彩を放った人物か入ってくるのが見えた。
「あれって……」
「八神社長だよ! どうしたんだろう。買い物かな」
うきうきと声を弾ませる杉本さんを横目に「セレブ社長も自分で買い物にくるですね」と相槌を打つ。
とはいえよく見れば、護衛か秘書かわからないが、スーツ姿の男性を数名引き連れている。
「うちの店に寄らないかな~」
「杉本さん、目がハートですよー」
「あんなイケメン見て、ハートにならない里香ちゃんの方がおかしいって!」
「そ、そうですかね」
どこかへ向かう彼を必死で目で追う杉本さんを見て、ははっと苦笑いを零す。彼のことを知らない人はこのテナントにはいないだろう。杉本さんみたいに憧れている人も多いと聞いている。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん」