オオカミ社長の求愛から逃げられません!
ぼんやりとしている、どこからかか細い声が聞こえてきた。キョロキョロと見渡すと、小学校一年生くらいの男の子が、もじもじとした様子でショーケースの前に立っていた。小さなお客さんだった。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
腰をかがめ男の子に問う。
「あの、おばあちゃんが……その、そこの病院に入院してて」
「お見舞いにお菓子を持っていきたいってことかな?」
そう聞けば、さっきまで不安そうだったがぱぁっと笑顔になった。
「うん! そう! おばあちゃんね、三日月堂のお菓子が好きなんだって! それでね、僕買いにきたの」
「一人で? えらいねー」
「もう一年生だもん」
張り切って答える男の子。可愛いなー。私もこうやって一人で買いにきたことがあったっけ。