オオカミ社長の求愛から逃げられません!


確かこの子と同じくらいだった。すごく緊張して、なかなか店員さんに声をかけられなかったのを今も覚えている。

「どれにする?」 
「一口まんじゅう一つください!」
「はい。かしこまりました。ちょっと待ってね」

笑顔でそう言うと男の子は大きく頷いた。

きっとここまでくるのにかなりの勇気がいっただろう。おばあちゃんのこと大好きなんだろうな。

そんなことを想像しながら一口まんじゅうを一つ袋に詰めていると、ふとどこからともなく視線を感じた。

ハッとして顔を上げれば、八神社長がいつの間にか目の前に来ていた。しかもなぜかこっちをじっと見つめている。

どうしたんだろう……? うちの店に何か用事かな?

というか、こんな風に間近で見るのは初めてで、想像以上に綺麗な顔に無意識に心臓がドキッとはねた。

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