オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「お姉ちゃん、いくら?」
「え? あ、380円だよ」
「え! 380円? どうしよう、僕350円しかもってきてない……」
あ、もしかして消費税を考えてなかったのかな。30円くらい、おまけしてあげたい気持ちはやまやまだ。でも、いくら子どもだからってこの子だけ特別に対応するわけにも……。
他のお客さんも見てるし。うーん、どうしよう。
「ほら」
頭を抱えていると、男の子の後ろからスッと手が伸びてきた。しかもその手にはブラックカードが握られている。思わずその場でキョトンとする。
「これで、払ってやって」
艶やかなバリトンボイス。声の出所をたどれば、ついさっきまでこっちを凝視していた八神社長だった。
嘘、どうして……?
「おじちゃん誰?」
「お、おじちゃん?」