オオカミ社長の求愛から逃げられません!
社長にそう言われ、カードを恐る恐る受け取る。
見ず知らずの男の子にこんなことしてあげるなんて、ちょっと意外だな。私の勝手な偏見だけど、社長さんってちょっと冷たいイメージがあったから。
「はい、お待たせしました。気をつけて行くんだよ」
「うん! ありがとう、お姉ちゃん! おじちゃん!」
男の子は子袋を上機嫌で受け取ると、嬉しそうに駆けて行った。その後ろ姿を見ていると心がほっこりした。
「あの、ありがとうございました。立場上断るしかなかったので……。あの子を悲しませずにすんでよかったです。あとで私がお支払いしますので、よかったらお名前とご住所を」
「いやいいよ」
「で、でもそういうわけには……」
そうこう押し問答していると、彼の付き人らしき人が割って入ってきた。そして重い口調で言った。
「社長、これ以上は引き延ばせませんよ」