オオカミ社長の求愛から逃げられません!
プロポーズは金平糖のように降り注ぐ
「ちょ、ちょっとどこへ連れ行く気ですか! 離してください!」
強引に手を引き、どこかへ連れて行こうとする八神社長。仕事を放り出させて、いったいどういうつもり!?
「いいからちょっと来て」
そ、そんな横暴な。ていうか。さっきからそれしか言わないし。私たちほぼ初対面ですよね? 私になんの用事があるって言うの?
「ここ、入って」
「え?」
無理やり連れてこられた場所は、同じテナント内にある高級和食レストラン。こんなところに何の用事が……?
「あ、そうだ。君、名前は?」
「え? 藤堂です」
「下の名前だ」
「り、里香です」
「里香ね。了解。来て」
またもや強引に手を引っ張られる。散々抵抗したから手首が赤くなっているし。もう、なんなの、いったい。
だけど社長は、問答無用とばかりに奥へと進んでいく。周りではランチを楽しむセレブっぽい人であふれていた。ずっと近くにあったのに、足を踏み入れたのは今日が初めてだ。
少しして、社長が「お待たせしました」といった。ハッとして顔を上げれば個室になった部屋で、数人の男女が集まっていた。ん? これは何の集まり?