オオカミ社長の求愛から逃げられません!


いやいや、冗談でしょ。私たちほぼ初対面じゃない。

「あ、あの八神……」

否定しようとしたところで、「シッ」と指を唇の前で立てられた。その姿も様になっていて思わず目を何度も瞬かせる。

「何を勝手なことを言っているんだ! お前は八神財閥の人間だぞ! 結婚は親が決めるものだ!」

横暴なことを当たり前のように言うところがすごい。いやでも、成功してきた人達はそうやって会社のために結婚を決めてきたのかもしれない。私の知らない世界だ。

「代々そうだったかもしれない。でもそんな風習はここで終わらせましょう」
「どこの馬の骨ともわからない女と、結婚なんてさせられるか!」

バンっとテーブルを叩かれ、びくっと体が竦む。

うぅー、どうして私がこんな目に……。早く杉本さんたちの元に戻りたい。私を開放して。


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