オオカミ社長の求愛から逃げられません!
無垢な仔猫の愛し方 晴久side
世の中には自分勝手でわがままな女しかいないと思っていた。
今まで出会ってきた女性は大抵そうだった。自分の都合ばかり押し付け、お金でモノを言わせる人が多かった。
付き合った女性以外にも、母も姉も、従妹もみんなそうだった。だから俺は軽く女性不信だったと思う。
そんな俺に親父がお見合い話を持ってきた。しかもお見合いの相手は西園寺家の長女。彼女はわがままで有名な令嬢で、バッグの一つも自分で持たないというのを聞いたことがあった。
八神家は代々、子供の結婚は親が決めていた。俺の親父も、祖父も、曾祖父もそう。だから俺は好きな女性とは結婚できないのだと昔から諦め、真剣に誰かを好きになったこともなかった。
そんな何もかも諦めていた俺が、彼女に出会って一変した。
周りを和ませるような笑顔、穏やかな口調、控えめだが芯の強そうな眼差しに、全神経が奪われた。電流が走るような感情をもたらせたのだ。
「俺は彼女と結婚する」
あの時、自分の発した言葉を耳にしてハッとした。そう、感情の赴くまま、無意識に言っていたのだ。しかも公の場で。