オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「せっかくだから、里香が食べさせてくれる?」
「え? どうしてですか?」
「恋人同士になると、デザートは食べさせあいこするものでしょ」
「そ、そうなんですか!!」
驚いたような声を上げる。思わず笑いを堪えきれなくなりそうになった。そんなルール、今俺が勝手に作ったに決まっているのに。
あー可愛いな、ほんと。
「じゃあ、口開けてください」
恥ずかしがる彼女に気が付かないふりをして、俺は黙って口を開けた。
昨日もそうだったが、彼女は無理だと決して言わない。どんなことにも努力しようとする。
名前を呼んでほしいといった時も、お試しで付き合おうと言ったときも、そして今も。
まずはやってみようとする彼女のそういう部分にも惹かれている。もし頑張れなくなった時は、とことん甘やかしてあげたいとも。
「ん、おいしい」
「よかったです」
「あの男の子も食べたかな」
「おばあちゃんと半分こしてるかもしれませんね」
なんてほのぼのと会話に花を咲かせていると、ふと至近距離で目があった。里香も気が付いたようで、一気に顔を赤くさせていた。