オオカミ社長の求愛から逃げられません!
まだ彼女は俺のことを好きなわけではない。それは重々わかっている。でもその小さな口元に、触れてみたい。
そっと里香の肩に手を置く。
「社長、失礼します」
すると、日野が慌てた様子で部屋に入ってきた。それを見て里香があたふたしながら俺から距離を取った。
「お取込み中のところ申し訳ありません」
「どうした」
「西園寺のお嬢様がいらしております」
その名前を聞いて、ドキッとした。オフィスまで訪ねてくるなんてどうしたんだ。あの後、しっかり謝罪はさせてもらった。話はついているはず。彼女も「お気になさらず」と最後は笑顔だった。
妙な胸騒ぎがした。