結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】

自分の言いたいことだけ言って、おじいちゃんが何か言う前に通話を切った。
ただ電話をかけただけなのに、興奮したせいか終わったときには息が切れていた。

ああ、だめだ。
せっかく離れられたのに、まだおじいちゃんに振り回されてる。

情けないし恥ずかしくて、狼くんの顔が見られない。
あんな風に取り乱して、きっとあきれてるよね。

ため息をつきながら、下を見る。
まだ黒い車に動く様子はない。
おじいちゃんが私の意見を素直に受け入れるなんてこと、あるわけないか。


「仁葵ちゃん」

「ごめん、狼くん。恥ずかしいところ見せちゃって……」

「怒ることは、別に恥ずかしいことじゃないよ。それより、たぶん仁葵ちゃん勘ちがいしてるんじゃないかと思って」

「勘ちがい……?」


狼くんは車を指さして「あれは監視じゃないと思う」と言った。

どういうこと?
花岡の人間を寄越して、私を連れ戻そうとしてるんじゃないの?

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