結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
慣れてるから何でもスマートで、かっこいい。
でも私の知らない彼の過去を想像すると、モヤモヤする。
名前も顔も知らない誰かに嫉妬だなんて、彼女気どりか。
自分が恥ずかしくて、ため息をついた。
「……さっき普通にしゃべれてたかな。いつも通り、いつも通り」
心を落ち着けてからレストルームを出ると、予想しない光景が待っていた。
狼くんが、女の人たちに囲まれている。
四人の女の人たちはみんな年上っぽくて、ぐいぐいと密着するかのように彼に迫っていた。
狼くんはそれに対し、無表情で遠くを見ている。
彼女たちの存在をないものとして、完全に無視しているようだ。
わかってたことだけど……本当に狼くんはモテる。
海外でもきっと毎日のようにグラマラスな女の人たちに囲まれていて、その中の誰かとキスをして、もしかしたらそれ以上のことも……。
「仁葵」
不意に腕をつかまれ、驚いた。
振り返ると、顔を険しくした剣馬が立っていた。