結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
「剣馬……どうしてここに?」
「俺はお前の護衛だぞ。どんなにカップルだらけの浮かれた場所でも、見守るに決まってるだろ」
さりげなく嫌味を混ぜてくるあたり、この浮かれた夢の遊園地にうんざりしていたんだろう。
それでも私に見えないところで仕事をしてくれたのは、間違いなく剣馬の優しさだ。
「全然気づかなかった」
「お前は鈍いからな。でもあいつは気づいてたぞ」
「狼くんが?」
「何回か目が合ったからな」
そんな素振りは全然なかったから驚いた。
やっぱり私って相当鈍いんだな、と少し落ちこむ。
「それで、どうしていまになって声かけてきたの?」
「お前に言っておきたいことがあってな」
そう言うと、剣馬は私にファイルを手渡してきた。
中には書類がとじられていて、いちばん最初に【飛鳥井狼に関する報告書】と印字されていた。
驚いて剣馬を見上げると、怒りに心配を混ぜたような幼なじみの顔があった。
「あいつ、他に女がいるぞ」
「……え?」