結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】

「しかも、子どもの頃から決められていた、婚約者だ」


頭が、真っ白になった。

狼くんに、婚約者がいる?
子どもの頃から決まっていた婚約者?

婚約者。つまり、結婚を約束した相手だ。
未成年だから、保護者の同意のうえの約束。

じゃあ……私は?

一緒に住んでいるけど、本当の恋人じゃなくて、ウソの恋人で。
キスはしたけど、付き合ってるわけじゃなくて、もちろん保護者の同意なんてものもない。

狼くんは私のお母さんを知っているけど、私は狼くんのご両親には会ったこともないし、何をしている人なのか、どこにいるのかさえ知らなかった。

当たり前だ。
だって、紹介する必要なんて少しもない関係だから。

一緒に住んでいるだけで、私たちの形は偽物なのだ。
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