結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】

「仁葵? 大丈夫か?」

「私……知らなくて。だって、狼くんそんなことひとことも……」


さっきのキスの感触がまだ残っている唇に触れる。

あのキスは何だったの? 遊びだった?
ドキドキして真っ赤になる私をからかってたの?


「だから反対しただろ」


ため息混じりの剣馬の言葉に、何も言い返せなかった。
唇を噛んでうつむくと、大きな手に頭を撫でられる。

この手になでられるの、何回目かな。
剣馬はぶっきらぼうで口も悪いけど、この手はいつも優しかった。


「これ……剣馬が調べたの?」

「ああ。相手の名前は藤島美鳥。ひとつ年下で、現在イギリスに住んでいる。外務省の欧州局長である飛鳥井の親と、ヨーロッパで貿易商をしている藤島の親が親友で、子ども同士も仲が良いみたいだな」


藤島美鳥。
どこかで聞いたことがあるような……。
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