結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
狼くんの言葉なんてまるで聞こえていないかのようで、女の人たちは好き勝手言って、狼くんを連れて行こうとしていた。
そのうちのひとりがスマホを掲げて、狼くんと一緒に自撮りをしようとしたことで、私はハッとして駆け寄った。
「ろ、狼くん!」
「仁葵ちゃん」
私を見て、無表情からほっとしたように頬をゆるめた狼くんを見て、複雑な気持ちになる。
私のことなんて遊びなのに、そんな特別みたいな顔しないでよ。
「あー、彼女?」
「うわっ。彼女もかっわい」
「これは無理だわ。残念~」
もっと食い下がられるかと思ったけど、女の人たちは道を開けるように狼くんを解放してくれた。
次会ったら逃がさないから、などと笑いながら彼女たちが去っていく。
狼くんは私をぎゅうぎゅう抱きしめて、短いため息をついた。
「……ごめんね、狼くん。遅くなって」
「だめ、許さない」