結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
「えっ」
「だから責任とって、俺のこと癒してね」
甘えるように言われたとき、胸に生まれたのはときめきよりも、ズキズキとした痛みだった。
モテる狼くんの冗談を、いちいちまともに受けとめすぎたのかな。
全部そのまま信じて、私はあっという間に……狼くんに恋をしてしまった。
私が世間知らずのお嬢さまだから。
でも全部が全部ウソだったなんて思いたくない。
結局はそんな気持ちも、私が彼を好きだからで。
「狼くんは……ずるいよ」
「ん? 仁葵ちゃん、何か言った?」
すりすりと私の頭に頬を寄せる狼くん。
婚約者がいるって本当?
本当に、狼くんには将来結婚を決めた人がいるの?
そんな人がいるのに、私を家に泊めて、一緒のベッドで眠ったの?
それって狼くんにとっては問題にもならない軽いことなの?