結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
どうして……そんなこと言うんだろう。
私はウソの彼女なのに。
家族に紹介して困るのは、狼くんなはずなのに。
「……呼ばれてもないのに、ご迷惑になるよ。私はルポもいるし、大丈夫だから」
「本当に? 本当に大丈夫?」
「もう、ほらほら! 早く出ないと遅刻しちゃうよ!」
まだ渋る狼くんを急かして、玄関まで見送る。
抱いたルポの前脚を上げて、バイバイしてみせた。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「……なんか、新婚さんみたい」
結婚したらこんな感じなのかな。
そんな狼くんの呟きに、どんな顔をしたらいいのかわからなくなる。
私の複雑な胸の内には気づかず、狼くんは頭にキスを落とすと「行ってきます」とさっきとはちがい上機嫌で言ってマンションをあとにした。
「結婚したら……か」