結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
ルポが私の足に体をすりつけて、まん丸な目で見上げてきていた。
小さな存在に癒されて、ちょっぴり勇気をもらえた気がした。
「狼くんは……出かけてます」
「そう。せっかく脅かしてやろうと思ってたのに」
「あの、あなたは……」
「そっちこそ、どちら様? 狼の家で何してるの? ……随分とくつろいでいるようだけど」
私とルポ、それからテーブルの上のピザを見て、女の子が目をすがめる。
狼くんからもらったルームウェアを着て裸足だった私は、きちんとした格好の女の子を前に、居たたまれない気持ちになる。
「わ、私は。いま、狼くんと、その……」
「狼と付き合ってる、なんてバカみたいな嘘ついても意味ないわよ」
空気を切り裂くような、冷たい声だった。
嘘。そうか、この子には嘘が通用しないのか。
じゃあやっぱりこの子が――。
「私のこと、知らない? 藤島美鳥。狼の婚約者よ」