結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
胸を張り、堂々と名乗った美鳥さんの前で、私は震えることしかできなかった。
私は狼くんと同棲しているんです、なんてとても口にできない。
「ほ……本当に、狼くんと婚約、されてるんですか」
「そうよ。小さい頃からそう決まってるの」
美鳥さんはツカツカと進み、慣れた手つきでサイドボードに手をかけると、迷うことなく中からアルバムを一冊取り出した。
パラパラとめくり、あるページを突き出すようにして私に見せつけてくる。
「どう? これで納得してもらえるかしら?」
そこには、幼い子どもがふたり、正装した姿で写っていた。
まるで小さな新郎新婦みたいに。
女の子のほうは、わかる。
真っ直ぐで艶やかな黒髪に、猫を彷彿とさせる大きな瞳。
小さい頃の美鳥さんだろう。
でも、隣りのこの男の子は一体誰?