結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
剣馬は一瞬苦い顔を見せると、ぐいっと強く私の頭を抱き寄せた。
「剣馬……?」
「お前があの男の家に泊まってると知って、俺がどんな気持ちだったかわかるか?」
それは怒っている声とは少しちがった。
怒っているのかもしれないけど、でもなんだか少し、元気がない。
「ほいほい男の家に上がりこんで、バカな奴って思ったんじゃないの?」
「お前がバカなのはとっくに知ってる」
「……ソーデスカ」
「俺はただ……お前が心配だっただけだ。傷つくことになるんじゃないかって」
大きな手が、私の頬を両側からはさんで、上を向かせる。
その手つきが優しくて、声に切なさがにじんでいるようで、私はされるがまま。
「俺は、お前にあんな顔させたくなかったんだ……」