結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
悔しさで震えるような幼なじみの声に、泣きそうになる。
でもどうしてか、私よりも剣馬のほうが傷ついているような顔をしていた。
「剣馬……泣かないで」
「泣いてない」
「でも、泣きそうだよ」
「俺は……っ」
何か大切なことを言いかけたようで、でも剣馬の口から続く言葉はなかった。
言いたいのに、言えない。
剣馬の目が、そう言っているように見えた。
「俺はお前が……!」
「剣馬……?」
長い付き合いだけど、こんな間近で、こんなに長く見つめ合ったことがあっただろうか。
それくらい真正面からお互いを見ていたけど、とうとう剣馬は最後まで言ってはくれなかった。
何かに必死に抗うような、耐えているような。
そんなつらそうな幼なじみに、私はかける言葉が見つからない。