結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
やがて剣馬はため息をつくと、私から手を離した。
顔を上げたときには、もういつもの厳しい幼なじみの表情になっていた。
「明日……」
「え?」
「明日はどうする? ここにいるか?」
いてもいいぞ、というニュアンスに自然と笑顔になる。
私の幼なじみは、厳しいけど本当に優しい。
「ううん。……普通に学校に行くよ。それで、そのあと家に帰る」
「……いいのか?」
「いいの。もう、いいの」
恋をふたつもなくして、少し自暴自棄になっているのかもしれない。
自分でもそれを感じたけど、だからといってもう、おじいちゃんに立ち向かう元気は持てそうになかった。
なんだかちょっと、疲れちゃったんだ。
「ありがとね、剣馬」
剣馬は納得がいかないような顔をしていたけど、黙って私の頭を撫でてくれた。