結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
「飛鳥井。お前はもう二度と仁葵に近づくな」
「……へえ? 三船に何の権利があってそんなこと言ってるの?」
「まだこいつを振り回す気つもりなら……」
「別に仁葵ちゃんを振り回す気なんて元からないけど。……つもりなら?」
剣馬は右手を掲げると、それを握りしめるようにパキパキと骨の音を響かせた。
「それ相応の覚悟をしてもらおうか」
顔は見えないけど、剣馬の声は本気だった。
剣馬は強い。狼くんも護身術は習ったと前に話していたけど、剣馬は習うっていうレベルじゃない。
武道に格闘技、対人戦闘術を子どもの頃からひたすら忠誠心のみで続け、マスターしたのだ。
素人とはきっと勝負にもならない。
狼くんがケガをする以外の未来が見えなかった。
「剣馬、いいよ。もう行こう」