結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】

剣馬の制服を引っ張って、うながす。

その一瞬、狼くんと目が合ったけど、すぐに私から反らしてしまった。
そうしないと、彼のことを責めてしまいそうだったから。


「……覚悟、ね。自分のものにする勇気もないくせに」


それは明らかな嘲笑だった。

普段は誰に対しても淡々としている狼くんらしくない態度。
私が驚いて固まっていると、手の中から剣馬のシャツがするりと抜けていく。

まずい、と思ったときには遅かった。

剣馬の振り上げたこぶしが、思い切り狼くんの顔に直撃した。
ぐらりと狼くんの体が揺らぐ。

でも、彼は倒れなかった。
強烈な一発だっただろうに、その場に踏みとどまった。
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