結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
私は首を振ってまた笑った。
ちゃんと明るく笑おうとしたけど、どうしてもへたくそな笑顔しか作れなかった。
「昨日ね、狼くんがいないときに、狼くんの婚約者さんが来たの」
「え……」
「恥知らずなことしてるってその子に言われて、本当にその通りだなあって」
「仁葵ちゃん……」
「だから、家出はもう終わり! 私にしてはもったほうだよね!」
無理やり口角を上げて笑ってみせたけど、目の前の寧々子ちゃんはちっとも笑ってくれなかった。
真剣な顔で、悲しそうな、悔しそうな顔で、真っすぐに私を見ていた。
「仁葵ちゃんは、恥知らずなんかじゃありません」
「寧々子ちゃん……」
「つらかったですね。がんばりましたね」