結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
剣馬はまだ緊張が切れないのか、厳しい顔をしていた。
「ありがとね。お見合いのこと、おじいちゃんに逆らってくれて」
「仁葵。……本当にするのか」
「うん。それが花岡の家に生まれた私の義務みたいだから」
家出する前は、その義務が嫌で嫌でしょうがなかった。
でもいまは、義務は放棄せずに、同時に自分の意思も守ろうという気持ちでいる。
結果失恋したけど、家出してよかったと思ってる。
見えないものが見えるようになったし、つらい経験以上に、楽しい思い出もたくさんできた。
全部、あの夜に拾ってくれた狼くんのおかげだ。
「大丈夫。私、義務にもおじいちゃんにも負けないから」
明るく言ったつもりだったのに、なぜか剣馬はつらそうに顔を歪めた。