結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
「仁葵、本当にいいのか」
「剣馬……」
「いまならまだ引き返せるぞ」
念を押すように最終確認をしてくる幼なじみ。
ぶっきらぼうで、口うるさくて、世話焼きで優しい剣馬に、これまで何度助けられてきただろう。
でももう心配かけちゃいけないな、と私はしっかり笑って見せた。
「大丈夫! じゃあ、行ってくるね」
「……ああ」
痛みに耐えるように眉を寄せた剣馬は、それでも微かに笑って送り出してくれた。
剣馬はきっと、私がどんな相手と婚約、結婚したとしても、三船家の者としてついてきてくれるだろう。
だから私は慎重に相手を見極めなきゃいけないと思う。
好きだから、だけじゃきっと足りない。
いまようやく、それを理解できた。