結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
「行こうか、仁葵ちゃん」
「うん。あの、私も半分持つよ」
「いいの。それより、今日の晩ごはんはどうする?」
話題を変えると、仁葵ちゃんは猫っぽい大きな目をぱちくりさせてから考え始めた。
「作るつもりだったけど、何がいかなあ。狼くん、食べたいものある?」
「仁葵ちゃんの作るものは全部美味しいから、何でもいいよ?」
「何でもいいがいちばん困るんだよ~」
「ふふっ。このやりとり、一回やってみたかったんだ」
夫婦っぽいでしょ、と俺が言うと、仁葵ちゃんは顔を真っ赤にして「すぐそうやってからかうんだから」と可愛く怒った。
怒った仁葵ちゃんもすごく可愛い。
怒った顔だけじゃなく、笑ってる顔も、悩んでる顔も、寝顔も、どれも俺が長い間想像してきた彼女より百倍可愛かった。