結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
これ以上俺を夢中にして、どうするつもりだろう。
もちろん、彼女にそんな自覚はないのだけれど。
教室に先に彼女を通す。
そのあと続こうとして、廊下の向こうから歩いてくる奴を見つけ一瞬足を止めた。
三船剣馬だ。
仁葵ちゃんの幼なじみで、ボディーガードの男。
この学園に入学してからずっと彼女を見ていたけど、彼女の隣りには常に三船がいた。
ボディーガードという役目を越えて、三船が仁葵ちゃんに特別な感情を抱いているのは明らかだ。
同じ思いを持つ俺だからわかる。
俺が日本にいない間、三船は誰より仁葵ちゃんの傍にいたんだ。
なんてうらやま――腹立たしい。
鈍い仁葵ちゃんは、もちろん三船の気持ちには気づいていない。
それだけが救いだ。
三船が俺に気づき、睨みつけてくる。
それに睨み返し、俺も仁葵ちゃんを追いかけ教室に入った。