結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
『仁葵。いい加減にしろって。こんなことしても、新造さまを余計に怒らせるだけだ。そんなのお前だってわかってるだろ?』
わかってるよ、そんなこと。
でも剣馬には言ってほしくなかった。
おじいちゃんの犬でも、私の幼なじみでもあるんだから、ちょっとくらい私の気持ちを考えてくれてもいいのに。
いつもいつも、事あるごとに新造さまは、新造さまがって、おじいちゃんのことばっかり優先して……。
『とにかく帰って、素直に謝れ。そのあとのことは――』
「絶対帰らないんだから! 剣馬のバカ!」
スマホに向かって叫んで、電源を落とした。
ひどい。どうして私がおじいちゃんに謝らなくちゃいけないの。
おじいちゃんが私に謝るならわかるけど、私が謝る理由なんてひとつもない。