結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
同棲の心得その3【親に話は通すべし】
私と狼くんが教室に入ったとたん、一斉に目を向けられた。
みんな、私たちの繋いだ手に視線が釘付けになっている。
「じゃ、あとで」
「うん」
「お昼は一緒に食べようね」
「わかった。食堂でしょ?」
そんな会話をして、それぞれの席についた瞬間、親友の寧々子ちゃんと中心に仲良くしている女の子たちに囲まれてしまった。
ちらりと狼くんを見ると、向こうも同じような状況になっている。
「仁葵ちゃん! どういうことです?」
長い髪を、ゆるくみつあみにした寧々子ちゃんが正面に立って私の机に手をついた。
小動物みたいなつぶらな瞳を力強く見開いた親友は、ずいぶん興奮しているみたいだ。
他の子たちもみんな同じような顔で迫ってくるものだから、ちょっと恐い。
「どうして飛鳥井くんと一緒に登校してきたの!?」
「飛鳥井くんの車に乗ってきたって本当?」
「さっき手をつないでたよね? 何がどうしてそうなったの!?」
「み、みんな、ちょっと落ち着いて」