ぜんぶ欲しくてたまらない。
教えてほしい。
ついに明日から高校生。
自分の部屋の壁に掛けられた真新しい制服を見て目を輝かせているわたしは、芦沢 芽依。
お母さん譲りの栗色の髪の毛は、ゆるく巻かれている。これもまたお父さん譲りの天然パーマ。
わたしはそれを気に入っている。
少し残念なのは、背が低くて着たい服の丈が合わないことと、特別可愛くも美人でもない普通なこの顔。
自慢じゃないけど、お母さんは結構美人な方だと思うし、お父さんもそこそこイケてると思う。
それなのに、なんでわたしは2人のイイトコを譲り受け無かったんだろう。
いつもそんなことを考えては悲しくなる。
「芽依ーっ、ちょっとお願いしたいんだけど」
「はーい、今行く!」
リビングの方からわたしを呼ぶ声がして、お母さんの元へと向かった。
「突然どうしたの?」
ちょうどお母さんはキッチンで夕飯の準備をしていた。
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