ぜんぶ欲しくてたまらない。
デートしてほしい。



「はぁ……」


「芽依ちゃん最近ため息多いよ?」



確かに自分でもそう思う。


気づけば深いため息が出る。



「倉敷くんとの同棲生活が終わってからかなぁ?」


「そ、そんなことないって!」



さては寂しいんだろうとニヤニヤする咲良ちゃんに全力で否定するわたし。


でも、実はそれも理由のひとつだったりする。


同棲生活終了の日曜日、コウくんのお母さんが少し早めに帰ってきて、申し訳ないくらい感謝されたわたしは、ケーキまでご馳走になって無事に自分の隣の部屋へと戻った。


しばらくしてお母さんとお父さんも海外旅行から戻ってきて、クッキーだ、カバンだ、Tシャツだと手に持ちきれないほどのお土産を貰ったっけ。


それからいつも通りの生活に戻ったわけだけど、常に隣にいたコウくんが居ないことにどこか寂しさを感じていた。



ただ、それだけじゃない。


一番の問題は────



「ここ、来週のテストに出るからなー」



黒板にグルグルと赤チョークで目立たせた公式。


やってきてしまった、わたしの一番嫌いな定期テストだ。


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