ぜんぶ欲しくてたまらない。



「はぁー、どうしよ咲良ちゃん」


「芽依ちゃんは昔からテスト大っ嫌いだもんね」



わたしのことをよく知る咲良ちゃんは、わたしが大のテスト嫌いで今回もまた泣きついてくることはお見通し。



「勉強は手伝うけど、自分で頑張んないとダメだよ?」



咲良ちゃんは優しいけれど、とても厳しい。


わたしの集中力が切れるたびに喝を入れてくれる。


そんなこんなで乗り越えてきた。


受験の時なんてどれだけスパルタだったことか……


今ではこうして一緒の高校に通えて感謝しかないけれど。



「あっ、そうだ!倉敷くんに教えてもらいなよ!」


「えぇっ、コウくんに!?」



思わず大きな声を出してしまって、急いで口を押さえるも時すでに遅し。


バッチリコウくんと目が合ってしまった。


その後すぐにそらされてしまったけど。



「面倒くさがりやのコウくんが教えてはくれないよ」



コウくんがわざわざそんなことしてくれるわけがない。


もしオッケーしてくれるなんてことがあれば、雪でも降るんじゃないかというくらい。




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