ぜんぶ欲しくてたまらない。
「中1の時は一緒に勉強してなかったっけ?」
「たしかにそんなことも……」
1人じゃすぐに漫画に手を伸ばしたり、スマホをいじってしまうから、見張りのような感じでコウくんと一緒に勉強をしていた。
でもそれもわたしの全力なお願いに痺れを切らしたコウくんがしぶしぶやってくれたこと。
今は絶対ないだろうなぁ。
それに───きっと、別の意味で勉強に集中できない気がする。
「でも、本気でやらなきゃね。赤点取ったら放課後補習あるらしいし……」
「……本当に?」
「芽依ちゃん先生の話聞いてなかったでしょ」
「あはは……ちょっと耳が痛くて」
テストのことになると現実逃避してしまうから。
「まぁ、一か八か倉敷くんのこと誘ってみなよ!芽依ちゃんのことだからいいよって言ってくれるかもしれないし!」
「どうかなぁ」
ちらりとコウくんの方を見てみると、ちょうど須藤くんから勉強を教えてくれと頼み込まれているところで、コウくんは嫌そうな顔で「面倒くさい」と呟いていた。
やっぱりコウくんを誘うのは不可能に近すぎるよ。
「もしダメだったらわたしと一緒に頑張ろっ!じゃ、またねー」
コウくんが席を立ち上がったのを見て察したのか、咲良ちゃんは先に帰って行った。
今日の帰り道でもダメもとで聞いてみようかな。