ぜんぶ欲しくてたまらない。
***
……無理だった。
言えなかった。
コウくんと一緒に帰ろうとした矢先、先生に呼び出しをされてしまった。
ついこの間授業中に行った小テストの件で。
その時もわたしは先生の話を聞いていなかったようで、当日小テストをやることを知った。
知っていても結果が変わっていたかはなんとも言えないけれど、勘で解いたテストの結果は本当に酷いもので……
呼び出されたわたしは、このままだと赤点の可能性が高いと釘を刺された。
怒られたのも散々だし、コウくんも待ってるのはダルいと先に帰ってしまったし、今日の運勢は最下位かと思うくらい最悪だ。
「ただいまー」
「おかえり芽依。そういえばもうすぐテストなんだって?」
「なんでそれを……」
「航大くんママに聞いたのよ、芽依ったら全然教えてくれないんだから。調子はどう?」
「んーぼちぼちかな」
ちゃんと頑張りなさいよとお母さんに念押しをされて、逃げるように自分の部屋へと足早に向かう。