ぜんぶ欲しくてたまらない。
ちゃんとやらないといけないことはわかってるんだよ。
でも、嫌いなものは嫌いだからどうしようもできないし……
それにしてもママ友の情報網は恐ろしいくらいに早い。
「はぁ……って、えっ?こ、コウくんっ!?」
自分の部屋のドアを開けると、そこに居たのはわたしのベッドに寝転ぶコウくん。
「な、なんでわたしの部屋にコウくんが……」
「居たらわるい?」
悪いというかなんというか。
「ちょ、ちょっと待ってて」
びっくりしすぎて上手く喋れない。
それよりも何よりも、確認だよ!
「ねぇお母さん!なんでウチにコウくんがいるの!?」
急いでリビングに行ってお母さんに問いただすと、「わたしが呼んだのよー」と呑気な声が返ってきて拍子抜けする。
「勝手に居れないでよ、もう!」
コウくんが来るってわかってたらもっと綺麗にしておいたのに!
「いいじゃない。勉強が苦手な芽依のために航大くんにお願いしたのよ、芽依に勉強を教えてあげて欲しいって。ほら、航大くん頭いいでしょ?」
確かにそうだけど……中1の頃のコウくんの成績だって常に学年10番以内。
でも、だからってそんな勝手に……
今言い合っても仕方ない。
コウくんをひとり残してきてしまっているので、一度部屋に戻ることにした。