ぜんぶ欲しくてたまらない。
「じゃあさっさと始めるよ」
「え?」
「赤点取ってもいいの?それなら帰るけど」
「いえ、是非ともよろしくお願い致します!」
放課後補習なんて絶対に受けたくないし。
ただでさえ小テストの件で目をつけられてしまっているし。
何としても頑張らないと。
そうして始めたテスト勉強。
わたしが中学生の時から使っている小さな白い丸テーブルにコウくんと向かい合わせになってノートを広げる。
「……っ」
授業中に初めて知ったことがある。
中学生の時はしていなかったけど、会っていない間に少し目が悪くなったのか、勉強をしている時だけメガネをかけているコウくん。
綺麗な黒髪に整った顔。
黒縁メガネがピッタリというほど似合う。
机の上に広げた教科書やノートなんかよりもコウくんのレアな姿に見とれてしまう。
「どうしたの芽依」
「ううん、なんでも!」