ぜんぶ欲しくてたまらない。
慌てて顔を下げると、コウくんは不思議そうに視線を下へ戻す。
コウくんが教科書を見ているのを確認して、またわたしは顔を上げる。
やっぱりかっこいい。
今すぐ写真に撮って収めたいくらい。
そして、こっそり待受画面に設定しちゃったりして。
「そんなに俺の顔変なの?」
「え、違っ」
さすがに2度目は誤魔化せない。
コウくんが誤魔化すことを許してくれない。
「違うなら、俺に見惚れてたの?」
「いや……」
「へぇー」
訂正する前に肯定されてしまった。
事実なわけだけど、それがバレてしまったのは恥ずかしすぎる。
わたしの行動がわかりやすすぎるのがいけないんだけど。
「じゃ、これなら集中できる?」
「……っ」
コウくんは教科書を持って、わたしの隣に移動してきた。
拳一つ間を空けて体育座りをするコウくん。
「俺の視線とか気にならないでしょ」
「う、うん……」