ぜんぶ欲しくてたまらない。



教室には半分くらいの人が来ていた。


多分同じ中学校だったのか、もういくつかのグループができ始めてる。



「名前が "あ" と "い" で続いてるから席も前後だね」



咲良ちゃんが早速わたしの後ろの席に座ってわたしを見上げる。



「咲良ちゃんと席が近くて心強いよ」



わたしは見えないって言われるけど、割と人見知りな方だから、咲良ちゃんが居てくれるのは本当に助かっている。


咲良ちゃんとお話をしていたら、入学式までの時間はあっという間だった。


体育館へ行く前に教室で担任の先生が挨拶をしていた。


男の先生だったけど、とても優しそうで安心した。


その後はぞろぞろと体育館へみんなで移動して、ちょっと緊張する入場行進もして、吹奏楽部と合唱部による校歌の披露や、お決まりの長い校長先生からのありがたいお言葉をもらって教室へとまた戻ってきた。


担任の先生からは、明日からの予定を簡単に説明された。


何やら1週間後に一泊二日で新入生オリエンテーションを行うらしい。


高校生活に早く慣れるためのお話とか、様々な地域から生徒が集まっているのでみんなが早く周りと溶け込めるように……という狙いなんだとか。


憂鬱な気持ちもあるけれど、ちょっと楽しみかもしれない。




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