ぜんぶ欲しくてたまらない。
そんなやり取りをつい1時間前くらいにもしたなと思いつつ、コウくんに泣すがる。
面倒くさがりやのコウくんが、わたしに対して親身になって教えてくれる。
「これはこう。……ねぇ、ちゃんとさっきの話聞いてた?」
「聞いてたんだけど……」
でも、コウくんは咲良ちゃんよりもかなりスパルタ授業だった。
「じゃあこっちも解いてみて。似たような問題だから」
コウくん厳しすぎるよ。
半泣き状態のわたしは、コウくんに怒られないよう必死に思い出して解いていく。
えっと、ここは……
───それにしても、黒縁メガネが似合ってる。
様子を見るために時々わたしのノートを覗き込んでくるコウくん。
その時にちらりと見える横顔がそれはそれはかっこよすぎて。
思わずクラっときてしまう。
「手止まってるよ」
「はいぃっ、ごめんなさい」