ぜんぶ欲しくてたまらない。
そんなこんなでコウくんによるスパルタ授業を受けること1時間。
もう外は日が暮れ始めている。
ダメだ、もう頭が回らない。
こんなに勉強に集中したのは久しぶりだよ……
「もう嫌。文字も数字も見たくない」
「そんなんでよく今の高校に入れたよね」
「うぅ……」
確かにごもっともなことだけど、そんなにバカにしなくたっていいじゃん。
コウくんのバカ。
「今日は終わろっか。芽依もこれ以上は無理そうだし」
「明日からももう頑張れなさそうだよ」
今日進んだのは1教科のごく一部。
テストまではまだ2週間くらいあるけれど、この調子だと覚えるどころか試験範囲が終わらない。
「じゃあご褒美。あったら頑張れる?」
「ご褒美?」
「じゃないと芽依、勉強しないでしょ」
「……」
コウくんの言う通り。
自分に甘えて勉強が疎かになって、テスト後に泣く羽目になる。