ぜんぶ欲しくてたまらない。
コウくんは何故か毎日のようにわたしの勉強に付き合ってくれた。
咲良ちゃんにそのことを報告するとわたし以上に嬉しそうにしていたっけ。
「好きな人と一緒に勉強するなんて恋の進展の予感だねっ!」
───なんて楽しそうに話すから、余計にコウくんとの時間を意識してしまって、集中力のなさに毎回怒られてしまうわたし。
「本当に聞いてるの?」
そう冷たい目で見られたり。
「ご褒美いらないの?」
「いる!やります!!」
ご褒美をエサに喝を入れられたり。
コウくんのため。
コウくんとデートをするため。
コウくんのためならわたしはなんだって頑張れる。
そんなこんなで迎えたテスト当日。
「あんだけやったんだし、自信もってやれば」
「ありがとうコウくん!わたし、頑張るから!」
コウくんにもお墨付きをもらって、いざテストに立ち向かう。
計算系は何度もコウくんから教えてもらった。
暗記系はコウくんがわかりやすくまとめたノートを貸してくれて、必死に覚えた。
勉強嫌いのわたしがここまでやれたのも本当に奇跡。
最後の教科を無事にやり終えて、達成感に満ち溢れていた。