ぜんぶ欲しくてたまらない。
「よし、時間も余ったことだしみんなには簡単に自己紹介をしてもらおうかな」
時間が余った……と言う割には終了予定時刻よりまだ1時間も早いから、先生が計画的に残したのだと思うけど。
「じゃあ、男子から出身中学と名前、これからの意気込みなんかもお願いしようかな?」
たまには女子から……なんて言い始める先生もいるから、自己紹介の時間はドキドキする。
だってトップバッターの緊張はすごいから。
今日は最初じゃなくて良かったとホッとした。
誰が出席番号順なんて決めたんだろう。
1番の男の子も可哀想に。
そんな最初の男の子も無事に自己紹介が終わり、クラスのみんなが拍手を送る。
「はい、トップバッターありがとう!次、2番なー」
そんな調子で自己紹介が進んで行った。
それから5人ほど進み───
次の人はどんな人だろう。
そう思いながら顔を上げた時だった。
「……えっ」
大人っぽくはなっている。
それでもその顔はわたしの知っている人にとてもそっくりで。
「名前言ってもわからないと思うんですけど、関東の中学校から来ました。倉敷 航大です───」